レッスン日記
脳の仕組み
シロクマ効果、という言葉をご存知でしょうか?
「今から、シロクマのことを考えないでくださいね」
と言われると、逆にシロクマのことで頭がいっぱいになってしまう、という現象です。
人間の脳というのは、「シロクマ」というキーワードだけが頭に残り、
「考えないでください」の否定の部分は残らない、
つまり、「考えないでください」と言われた否定の指示は頭に残らないようになっているそうです。
以前にも似たような記事を書いたことがありますが、
「考えないでください」という語彙は、
「考える」という言葉を否定して「考えない」という形にし、「ください」をプラスして指示、依頼をされている、複雑な語彙です。
脳は、複雑な語彙を処理するのではなく、
単純に「シロクマ」だけを残したということです。
人間の脳って面白いですね。
ある意味では効率的、ある意味では未完成、
そんな人間の脳ですが、今回お話したいのが、
これを日本語の学習に使ってみては、というご提案です。
ひらがなとカタカナの練習はしないでね
漢字は書かないでね
と、「〜ないで」という禁止や否定の表現を使って生徒さんに宿題のお願いをします。
先ほどの脳の特性上、「ひらがな、カタカナ、漢字」とキーワードだけが残ります。
そうすると、頭の中ではその言葉がぐるぐると回っています。
頭の中にアンテナが立っているのと同じ状態です。
ですから、ひらがな、カタカナ、漢字、それから日本語自体に対して感度が高くなり、今までとは違った形で、脳に情報が入ってくると思います。
そうすると、「あ!こんなところに日本語。」と、
今まで目に入ってなかったものに対して、意識が向いてくると思うのです。
シロクマ効果を経て、「選択的注意」と呼ばれる現象も起きるんだと思います。
我が家でお出かけの際によく車の中でやるゲームで、
「◯◯色の車を数えよう」ゲームをします。
それぞれ色の担当を決めて、次の信号までに対向車線から来た車を何台見つけられるか、というゲームなのですが、
車に乗っている時にただ視界に入っていただけの車も、
その色を言われた途端に、探し始めてしまいます。
それまでなんにも意識していなかったのに、です。
生徒さん達は、それぞれに色々な事情があって、日本語の学習をスタートしているかと思いますが、
なかなか上達の兆しがなくとも、日本語のレッスンを受けているだけでも、今までの脳の使い方とは違った情報処理をしているでしょうし、無意識に日本語のことを考えてると思います。
それまでは目に見えていなかったことも、無意識だったことも、
キーワードを言われると脳内にイメージされ、
途端に情報を取りにいったり、意識し続けていくと思うのです。
以前散歩している時に出会ったおばあちゃんが、
「この時期はね、勿忘草が咲いてるのよ。この辺に咲いてるとは思わなかったけど、前に見つけてからは咲いてるのが目につくようになったのよね〜。」
と言って、勿忘草を探していました。
「あ!ほらほらあった」と、にっこり笑って、勿忘草を指差して教えてくれました。
私も、それまでは全く気付いていませんでしたが、
そのおばあちゃんに会って以降、道端のどこかで咲いているであろう勿忘草を探している自分がいます。
それも、シロクマ効果からの選択的注意の一つなんだと思います。
気にも留めていなかったことが、外部からの一言で頭に残り意識してしまう、それまでは視界に入っていたかもしれないのに、意識していなかったから気付かなかったことにも気付く、
そんなことが脳の仕組みで起こります。
日本語のことを考えないようにしよう、と思えば思うほど、頭の中には「日本語」のキーワードが残り続けます。
この現象を逆手にとって、さぁ皆さんもレッツ日本語!
皆さん、ひらがなとカタカナのことは忘れてください。
漢字の勉強も、しなくていいです。
絶対に、日本語のことを考えないでくださいね。
西本
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